「できるか、できないか。」くらいの仕事が、人を育てる。

2026.10.06
育てる

「それなら、やってみます。」

絶対にできる仕事なら、安心して任せられます。

本人も迷わず取り組める。
失敗する可能性も低い。

でも、それだけを繰り返していて、人は育つのでしょうか。
反対に、今の力では到底できそうにない仕事を任せれば、

「それは無理です」
「自分にはできません」

と、始める前から諦めてしまうこともあります。

では、
「できる」とも言い切れない。
「できない」とも言い切れない。

少し背伸びをすれば、届くかもしれない。
そんな仕事を任されたとき、人はどう動くのでしょうか。
「できるか、できないか。」そのくらいの仕事だからこそ、挑戦してみようと思うことがあるのではないでしょうか。

簡単すぎる仕事では、挑戦にならない。

慣れた仕事なら、失敗する心配はありません。

これまで何度もやってきた。
やり方も分かっている。
ほぼ確実にできる。

仕事を安定して進めるうえでは、それも大切です。
でも、本人にとって「できて当たり前」の仕事ばかりでは、新しいことに挑戦する機会はなかなか生まれません。では、難しい仕事ほどいいのでしょうか。

そうとも限りません。

どれだけ頑張っても届きそうにない。
何から手をつければいいのかも分からない。

そんな仕事では、「やってみよう」
より先に、「無理だ」
となってしまうこともあります。

簡単すぎても挑戦にならない。難しすぎても挑戦できない。 その間に、人が一歩踏み出したくなる領域があります。

「五分五分」だから、やってみたくなる。

成功するかもしれない。
失敗するかもしれない。
どちらになるか、やってみなければ分からない。
そんな仕事には、独特の緊張があります。

絶対にできる仕事を終えても、「できた」という喜びはそれほど大きくないかもしれません。反対に、最初からほとんど不可能な仕事なら、失敗しても「仕方がない」と考えることもできます。

でも、
頑張れば、できるかもしれない。
という仕事では、自分の力が試されます。

だからこそ、挑戦する意味が生まれる。
もちろん、誰もが「五分五分」の仕事を好むわけではありません。

人によっては、失敗する可能性がある仕事を避けたいこともあります。
大切なのは、人によって、仕事の難しさに対する向き合い方も違うということです。

「少し頑張れば、届く仕事。」

仕事を任せるとき、
「この人なら、確実にできる仕事を」と考えることがあります。
失敗を避けるためには、それも必要です。

反対に、
「成長してほしいから、難しい仕事を任せよう」
と考えることもあります。

でも、難しければ難しいほど、挑戦したくなるわけではありません。
簡単すぎれば、自分の力を試す必要がない。
難しすぎれば、挑戦する前に諦めてしまう。

その間に、
「できるかもしれない。でも、やってみなければ分からない。」
という仕事があります。

仕事を任せるときに見るのは、
「できるか、できないか」
だけではなく、
「少し頑張れば、届く仕事か。」
ということなのかもしれません。

成功するかもしれない。
失敗するかもしれない。

だからこそ、自分の力を試してみたくなる。
人が挑戦する仕事には、そんな「難しさ」があるのかもしれません。


POINT

この記事のテーマは、「達成動機理論」につながる考え方です。

達成動機理論では、達成しようとする動機と失敗を避けようとする動機などから、人がどのような課題を選ぶのかを考えます。達成動機が強い人は、成功がほぼ確実な簡単な課題や、成功する可能性が極めて低い課題よりも、中程度の難しさを持つ課題を選びやすいと考えられています。

人に仕事を任せるときにも、単に難しい仕事を与えるのではなく、その人にとってどの程度の難しさなのかを考える視点につながります。

→ 「アトキンソンの達成動機理論」とは何か 

→ 「マクレランドの欲求理論」とは何か

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