社長一人で決めた方が、早かった。
会社を始めたばかりの頃。
何かあれば、社長に聞く。
社長が判断し、その場で決める。
細かなルールはなくても、みんながお互いの仕事を知っている。
人数が少なければ、それで十分に仕事は回ります。
むしろ、会議や申請書を増やすより、ずっと速い。
ところが、社員が増え、仕事が増え、組織が大きくなっても同じやり方を続けていると、
「社長の確認待ちで進まない。」
「人によってやり方が違う。」
「誰が決めるのか分からない。」
そんなことが起こり始めます。
以前は会社の強みだったやり方が、いつの間にか会社を止める原因になる。
そんなことがあります。
会社が変われば、必要な仕組みも変わる。
人数が少ない会社では、顔を合わせて話せば伝わります。
誰が何をしているかも分かる。
困ったことがあれば、その場で相談できる。
でも、人数が増えれば、それだけでは仕事が回らなくなります。
そこで、
役割を決める。
権限を分ける。
仕事を標準化する。
ルールや仕組みを整える。
以前なら「面倒だったもの」が、会社を動かすために必要になってきます。
つまり、
会社にとって良いやり方は、いつも同じとは限らない。
会社が変われば、仕事の進め方も変える必要があります。
仕組みをつくれば、それで終わり?
では、ルールや仕組みを整えれば、会社はずっとうまく回るのでしょうか。
組織が大きくなるにつれて、
申請が増える。
会議が増える。
部門が分かれる。
責任や権限が明確になる。
こうした仕組みは、会社を安定して動かすために必要です。
ところが、増えすぎれば今度は、
「決めるまでに時間がかかる。」
「それは、うちの部署の仕事ではない。」
「ルール上、できません。」
ということが起こる。
会社を動かすためにつくった仕組みが、今度は会社を動きにくくする。
そんな逆転も起こります。
「良いやり方」にも、賞味期限がある。
会社には、成長の段階があります。br> 立ち上がったばかりの会社。
社員が増え、組織らしくなってきた会社。
役割や仕組みが整い、安定して仕事ができるようになった会社。
さらに大きくなり、部門を越えた連携や柔軟な動きが必要になってきた会社。
それぞれの段階で、会社が抱える問題は変わります。
だから、
「このやり方で会社は成長してきた。」
という事実だけでは、そのやり方を続ける理由にはならないのかもしれません。
以前は必要だったものを、やめる。
以前は必要なかったものを、つくる。
うまくいっている仕組みそのものを、見直す。
改善とは、今ある仕事をもっと効率よくすることだけではなく、会社の今の姿に合わなくなったやり方を変えることでもある。
今の会社に、合っているか。
社長が全部を見る。
ルールをつくる。
仕事を標準化する。
部門を分ける。
権限を委譲する。
どれが正しくて、どれが間違っている、ということではありません。
大切なのは、
「今の会社に、そのやり方が合っているか。」
ということです。
会社が変われば、必要な仕組みも変わる。
そして、その仕組みによって会社が成長すれば、また次の問題が生まれる。
だから改善には、
「今のやり方の、どこが悪いのか。」
だけでなく、
「このやり方は、今の会社にもまだ合っているのか。」
という問いも必要なのかもしれません。
昔うまくいったやり方を守ることと、会社を守ることは、同じではありません。
POINT
この記事のテーマは、「組織ライフサイクル」につながる考え方です。
組織は、成長していく過程で、そのあり方や直面する課題が変化していくと考えられています。立ち上がったばかりの組織に必要なものと、規模が大きくなった組織に必要なものは、必ずしも同じではありません。会社の成長段階によって、必要となる仕組みやマネジメントも変わっていく。
組織ライフサイクルは、そうした会社の変化を考えるための視点になります。