全員に「成長」を求めることが、育成なのか。

2026.09.22
育てる

次は、もっと難しい仕事を任せよう。

一つの仕事ができるようになった。
では、次の仕事を覚えてもらおう。
それもできるようになったら、もっと難しい仕事を任せよう。
やがて後輩を教え、チームをまとめ、管理職になってもらう。

会社で「人を育てる」というと、そんな道筋を思い浮かべることがあります。
できることを増やし、より大きな役割を任せていく。

もちろん、それも大切な成長です。
でも、全員が同じ方向へ進むことが、本当に「育つ」ということなのでしょうか。

「成長」の形は、一つではない。

一つの仕事を長く続けながら、誰にも真似できないほど技能を高めていく人がいる。

決められた仕事を、速く、正確に、大量に処理できる人がいる。さまざまな仕事を経験し、状況に応じて動ける人がいる。人をまとめることに力を発揮する人もいる。事業全体を見ながら判断し、将来は経営を担える人もいる。同じ会社で働いていても、力を発揮する場所も、伸びていく方向も違います。

それなのに、
「次はもっと難しい仕事を」
「次はリーダーを」
「その次は管理職を」
と、一つの階段だけを用意してしまう。
それは本当に、その人を育てているのでしょうか。

「任せるほど育つ」とも限らない。

人を育てるためには、できるだけ任せた方がいい。自分で考えさせた方がいい。そう考えることもあります。

でも、新しい仕事を始めたばかりの人に、いきなりすべてを任せれば戸惑うかもしれません。反対に、十分に経験を積んだ人へ細かな指示を続ければ、その人の力を生かせないかもしれません。

必要なのは、
「指示するか、任せるか」のどちらかを選ぶことではなく、その人と仕事の状態を見ること。
何ができるのか。どこまで任せられるのか。どこに支援が必要なのか。
同じ人でも、任せる仕事が変われば、その答えは変わります。

全員を同じ場所へ連れていく必要はない。

会社には、さまざまな仕事があります。

高い技能を持つ人が必要な仕事もある。安定して仕事を処理する人が必要な場所もある。人をまとめる人が必要な場所もある。新しいことを考える人も、経営を担う人も必要です。

だから、人を育てることを、
「全員を同じ階段の上へ進ませること」
と考えなくてもいいのかもしれません。
その人は、どこで力を発揮できるのか。どんな役割なら、その力をさらに伸ばせるのか。

そして、会社にはどんな人と役割が必要なのか。一人ひとりを見ることと、会社全体を見ること。その両方を考えながら、人と仕事を組み合わせていく。

リーダーの仕事は、全員を同じ人材に育てることではなく、それぞれの力が生きる場所をつくることなのかもしれません。


POINT

この記事のテーマは、「SL理論(状況対応型リーダーシップ)」につながる考え方です。

SL理論では、すべての部下に同じリーダーシップをとるのではなく、相手の能力や意欲などの状態に応じて、指示や支援のあり方を変えていくことを考えます。

この記事ではそこから少し視野を広げ、人によって成長の形も違うとすれば、全員を同じ方向へ育てることが本当に組織にとって望ましいのかを考えました。

→ 「SL理論(状況対応型リーダーシップ)」とは

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