改善を一度きりで
終わらせない
仕事のやり方を見直し、新しい方法に変える。
問題が解決すれば、そこで改善は終わったように見えます。しかし、改善した方法が本当にうまくいったのかは、実際にやってみなければ分かりません。
期待した成果が出なかったかもしれない。
別の問題が生まれたかもしれない。
もっとよい方法が見つかるかもしれない。
だから改善は、「変えて終わり」ではありません。
計画し、実行し、その結果を確かめ、次の改善につなげる。この一連の活動を繰り返していく代表的な考え方が、PDCAです。
PDCAとは何か
PDCAは、仕事や業務の改善を継続的に進めていくためのサイクルです。4つの段階の頭文字から、PDCAと呼ばれます。
P:Plan ―― 計画
何を、どのように改善するのかを考える。
D:Do ―― 実行
計画したことを実行する。
C:Check ―― 評価
実行した結果を確認し、計画との差や問題を把握する。
A:Act ―― 改善
確認した結果をもとに、必要な修正や改善を行う。
重要なのは、P・D・C・Aを一度行うことではありません。
Actのあとに、再び次のPlanへ進む。 この循環によって、一度の改善で終わらず、次の改善へつなげていくことにPDCAの特徴があります。
P:Plan
― 何を改善するのか
Planでは、単に「予定を立てる」のではなく、何が問題で、どのような状態を目指すのかを考えます。
何が起きているのか。
なぜ問題なのか。
どのような状態にしたいのか。
そのために何をするのか。
改善の目的や目標が曖昧なまま実行してしまうと、あとから「うまくいったのか」を判断することができません。Planでは、実行する内容だけでなく、何をもって改善できたと判断するのかまで考えておくことが重要です。
D:Do
― 実際にやってみる
Doでは、Planで考えた内容を実行します。計画は、実行して初めて現実の仕事と接します。
実際にやってみると、
想定していた通りに進まない。
思った以上に時間がかかる。
別の問題が起きる。
といったことがあります。
Doは、単に計画通りに作業する段階ではありません。計画した改善が、実際の仕事の中で機能するのかを確かめる段階でもあります。
C:Check
― 結果を確かめる
実行したら、その結果を確認します。
ここで重要なのは、
「計画したことを実施したか」だけでなく、「その結果、何が変わったのか」を見ることです。
目標に近づいたのか。
期待した成果が出たのか。
想定していなかった問題はなかったか。
うまくいかなかった場合には、その原因を考えます。 反対に、うまくいった場合にも、なぜうまくいったのかを確認することが、次の改善につながります。
A:Act
― 次の改善につなげる
Checkで確認した結果をもとに、必要な修正や改善を行うのがActです。期待した成果が出なかったのであれば、原因を踏まえて方法を見直します。うまくいったのであれば、その方法を標準化し、定着させることも考えます。
そして、ここで終わりではありません。
改善した状態をもとに新しい課題を見つけ、次のPlanへ進みます。 つまりActは、PDCAの最後であると同時に、次のPDCAの入口でもあります。
PDCAは「一周すること」が
目的ではない
PDCAというと、
Plan → Do → Check → Act
という4つの段階を順番に回すことに目が向きがちです。しかし、一周すること自体が目的ではありません。一度目の改善によって、仕事の状態が変わる。その新しい状態から、また問題を見つける。そして、次の改善を行う。
改善 → 新しい状態 → 次の改善
と繰り返すことで、仕事をよりよい状態へ変えていきます。PDCAの「サイクル」には、改善を一度きりで終わらせないという考え方があります。
PDCAとデミング
PDCAは「デミング・サイクル」と呼ばれることもありますが、デミングがPDCAそのものを考案したわけではありません。
その背景には、ウォルター・A・シューハートによる品質管理の考え方があり、W・エドワーズ・デミングがそれを発展させ、日本の品質管理にも大きな影響を与えました。その後、日本でPDCAという形が広く定着していきました。 なお、デミング自身は後に、CheckではなくStudyを用いるPDSA(Plan-Do-Study-Act)を重視しています。
「計画通りだったか」
だけを確認しない
PDCAで特に注意したいのが、Checkです。
Checkを、
「計画したことを、予定通り実行できたか」
だけの確認にしてしまうと、PDCAは単なる進捗管理になってしまいます。
本来確認したいのは、
「実行した結果、目指した状態に近づいたのか」です。
計画通り実行できても、成果につながらなければ方法を見直す必要があります。反対に、期待した成果が得られたのであれば、なぜその結果につながったのかを考えることが、次の改善に役立ちます。
PDCAでは、計画を実行したかどうかだけではなく、その結果を確かめ、そこから次の行動を考えることが重要です。
改善した状態が、
次の出発点になる
一つの問題を解決しても、それですべてが完成するわけではありません。環境が変われば、新しい問題が生まれます。また、一度改善したことで、それまで見えなかった問題が見えることもあります。
Plan → Do → Check → Act
そして、またPlanへ。
改善した状態を新しい出発点として、さらに改善を重ねていく。
改善を一度きりで終わらせない。
それが、PDCAの基本的な考え方です。

参考文献
- Shewhart, W. A. (1939). Statistical Method from the Viewpoint of Quality Control. The Graduate School, U.S. Department of Agriculture.
- Deming, W. E. (1986). Out of the Crisis. MIT Center for Advanced Engineering Study.
- Moen, R. D. & Norman, C. L. (2009). “Evolution of the PDCA Cycle.”