きれいに並んでいれば、整理整頓なのか。
机の上には、余計なものがない。
工具は決められた場所に並び、棚にはラベルが貼られている。床にはものが置かれず、通路もきれいに確保されている。
「うちは5Sを徹底しています。」
そう胸を張る会社もあるでしょう。
確かに、整理整頓された職場は気持ちが良いものです。
でも、少し考えてみたいのです。
例えば、工具が種類ごとにきれいに並んでいる職場。
見た目には、よく整理されています。
しかし、頻繁に使う工具が作業場所から遠くにあったら。
使うたびに取りに行き、作業が終われば元の場所まで戻しに行く。
あるいは、必要な書類がすべて決められた棚に保管されていても、取り出すたびに何冊ものファイルを開かなければならないとしたら。
確かに、片づいています。
でも、それは仕事がしやすい状態なのでしょうか。
きれいに片づいていることと、仕事がしやすいことは、必ずしも同じではありません。
誰のための整理整頓なのか。
5S活動では、職場を点検したり、決められた場所にものが置かれているかを確認したりします。
それ自体は、大切なことです。
しかし、いつの間にか「きれいに片づいているか」が評価の中心になっていないでしょうか。
置き場所が決まっている。
表示も統一されている。
決められたルールが守られている。
それでも、現場の社員が使いにくさを感じていたら。
「決まりだから、ここに戻してください。」
そのルールは、何のためにつくられたのでしょう。
整理整頓は、職場をきれいに見せるためなのか。それとも、仕事をしやすくするためなのか。
5S活動が、決められたルールを守ること自体を目的にしてしまえば、かえって仕事の負担になることもあります。
仕事がしやすいから、片づいている。
本当に使いやすい職場とは、どんな職場でしょうか。
必要なものが、必要なときに、すぐに使える。
使い終わったものを、無理なく元の場所に戻せる。
誰が作業しても、ものを探したり、余計な動きをしたりせずに仕事ができる。
そんな職場なら、整理整頓は特別な努力をしなくても続きやすくなります。
5Sの「整頓」は、単にものをきれいに並べることではありません。
必要なものを、使いやすく配置することも含まれています。
きれいに片づいているだけでは、5Sができているとは限らない。
大切なのは、仕事のしやすさを考え、その状態を維持していくことです。
片づいていることが、仕事のしやすさにつながる。
そして、仕事がしやすいから、片づいた状態も維持される。
そんな職場をつくることが、5Sの本来の目的ではないでしょうか。
あなたの会社の職場は、きれいに片づいていますか。
そして、そこで働く人にとって、本当に使いやすい職場になっていますか。
POINT
この記事のテーマは、経営学では「5S」につながります。
5Sとは、整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)の5つの活動を通じて、職場の状態を整え、維持・改善していく考え方です。5Sは、単に職場をきれいにするための活動ではありません。必要なものを使いやすく配置し、ムダな動きや探す時間を減らすことなどを通じて、安全性や作業効率の向上にもつながります。
整理整頓そのものを目的にするのではなく、仕事がしやすい職場をつくるための活動として考えることが重要です。
→ 「5Sとは何か」