お客様が買っているのは、本当に「製品」だけだろうか。
製造業にとって、製品はもちろん重要です。
品質。 価格。 納期。 技術力。
より良いものを、安定してつくる。それが製造業の強さです。
だから、「うちは製造業で、サービス業ではない。」
そう考えるのは、自然なことかもしれません。 でも、お客様から見たときも、価値は「製品」だけなのでしょうか。
図面通りにつくる。その先にある仕事。
顧客から図面を受け取り、その通りにつくる。
でも、ときには、
「この用途なら、別の材質の方がいいのでは。」
「ここを変えれば、組み立て工程を減らせるかもしれません。」
と提案することもあります。
顧客が持つ「どう使いたいか」という知識と、製造する側が持つ技術や経験。
それを持ち寄ることで、最初の図面にはなかった答えが生まれる。
顧客と一緒に、より良い答えをつくっている。 では、そこで提供しているものは、本当に「製品」だけなのでしょうか。
「サービス」は、接客のことだけではない。
サービスというと、
接客。 アフターサービス。 お客様対応。
そんなものを想像するかもしれません。でも、経営学やマーケティングには、サービスをもっと広く捉える考え方があります。自社が持つ技術や知識を、顧客が持つ知識や経験と組み合わせて、一緒に価値を生み出していく。
そう考えると、製造業だから「モノ」、サービス業だから「サービス」と単純に分けるだけでは見えないものがあります。
製品は工場で完成します。
でも、その製品が本当の価値を持つのは、お客様の仕事の中で使われたときです。「何をつくったか」だけではなく、「それによってお客様が何を実現できたか」。そこまで考えると、製造業にとっての「サービス」が少し違って見えてきます。
「何を売るか」から、「何を一緒につくるか」へ。
製造業が、サービス業になる必要はありません。製品の品質や技術力が重要であることも変わりません。
ただ、「自分たちは何をつくっている会社なのか。」
という問いに加えて、
「自分たちの技術や知識を使って、お客様とどんな価値をつくっているのか。」と考えてみる。
すると、顧客との関係も少し違って見えてきます。
注文する会社と、つくる会社。売る側と、買う側。
それだけではなく、それぞれが持っている知識や経験を持ち寄って、一緒に価値をつくる相手。 「サービス」という視点は、製造業がこれまで積み重ねてきた技術の価値を、別の角度から見せてくれるのかもしれません。
POINT
従来のマーケティングでは、企業が商品をつくり、その商品に価値を持たせ、顧客へ届けるという考え方が中心でした。
これに対して**サービス・ドミナント・ロジック(S-Dロジック)**では、価値は企業が一方的につくって顧客へ渡すものではなく、顧客が商品やサービスを利用する過程で生まれるものとして捉えます。この考え方では、製造業であっても、企業が提供しているものを「モノ」だけで考えることはできません。製品を通じて顧客が何を実現し、どのような価値を得るのかまで考える必要があります。
ここには、企業と顧客との価値共創や、顧客が何を価値として認識するのかという顧客価値の考え方も関係しています。
→ 「S-Dロジックとは」※今後掲載予定
関連して学ぶ→ 「顧客価値」とは